2015年07月07日

沖縄縣民斯ク戰ヘリ

発 沖縄根拠地隊司令官
宛 海軍次官

 左の電文を次官に御通報方取り計らいを得たし


 沖縄県民の実情に関しては、県知事より報告せらるべきも、県には既に通信力なく、
32軍司令部また通信の余力なしと認めらるるに付き、
本職、県知事の依頼を受けたるに非ざれども、
現状を看過するに忍びず、これに代わって緊急御通知申し上げる。

 沖縄島に敵攻略を開始以来、陸海軍方面、防衛戦闘に専念し、
県民に関しては殆ど顧みるに暇いとまなかりき。

 然れども、本職の知れる範囲に於いては、県民は青壮年の全部を防衛召集に捧げ、
残る老幼婦女子のみが、相次ぐ砲爆撃に家屋と財産の全部を焼却せられ、
僅わずかに身を以って軍の作戦に差し支えなき場所の小防空壕に避難、
尚、砲爆撃下×××風雨に曝されつつ、乏しき生活に甘んじありたり。

 しかも若き婦人は、率先軍に身を捧げ、看護婦烹炊(ほうすい)婦はもとより、
砲弾運び、挺身斬り込み隊すら申し出る者あり。

 所詮、敵来たりなば、老人子供は殺されるべく、
婦女子は後方に運び去られて毒牙に供せらるべしとて、
親子生き別れ、娘を軍衛門に捨つる親あり。

 看護婦に至りては、軍移動に際し、衛生兵既に出発し、
身寄り無き重傷者を助けて××、真面目にして、
一時の感情に駆られたるものとは思われず。

 さらに、軍に於いて作戦の大転換あるや、自給自足、
夜の中に遥かに遠隔地方の住民地区を指定せられ
、輸送力皆無の者、黙々として雨中を移動するあり。

 これを要するに、陸海軍沖縄に進駐以来、終始一貫、勤労奉仕、
物資節約を強要せられつつ(一部はとかくの悪評なきにしもあらざるも)
ひたすら日本人としての御奉公の護を胸に抱きつつ、
遂に××××与え×ことなくして、本戦闘の末期と沖縄島は実情形××××××

 一木一草焦土と化せん。糧食6月一杯を支うるのみなりという。
沖縄県民斯く戦えり。県民に対し、後世特別の御高配を賜らんことを。




 …海軍少将 大田実の遺志は継がれているのでしょうか。
「御高配」が米軍基地(ムチ)とそれに伴う経済支援(アメ)であるという認識だとしたら、
それは不勉強から来る最も恥ずべき慢心です。日本人の道徳心はそんなものなのでしょうか。

 国に殉じ戦死した軍人が英霊ならば、
総動員をかけられ散華した沖縄県民もまた国に殉じた英霊。
内地が沖縄を見る目線は、日本軍将兵の遺志さえないがしろにしているように思えてなりません。

 日本に同化し、沖縄のアイデンティティが失われる事に対する危機感が
沖縄独立という最右翼の感情となっているという分析がありますが、これは大変危険な見誤りで
沖縄の日本に対する不快感の源は「二度見捨てられた」という感情です。

沖縄戦で日本を守るための捨て石となって戦った結果、沖縄にもたらされたのは米軍の支配でした。

祖国復帰すれば米軍は撤退すると信じ復帰を果たした結果、日本は沖縄の基地を固定化しました。

戦後70年間、沖縄は日本を支えるため無言で犠牲に耐えてきたのです。
にもかかわらず今また、
沖縄は日本を守る米軍基地の重要性も判らない不届き者だという論調が日本に渦巻いています。

しかし沖縄は、現実に日本を信じて行動した結果二度裏切られており、
これ以上日本を信頼してよいのかどうか不信を抱いているのです。

 沖縄の人が感じている二重三重の不条理に気付かずに沖縄だけを責め続ける限り、
いずれ本当に日本は沖縄を失い、外交的により厳しい舵取りを迫られるようになるでしょう。
その時に責めを受けるべきは、本当に沖縄の人なのでしょうか?

沖縄縣民斯ク戰ヘリ沖縄縣民斯ク戰ヘリ
画像は普天間基地を見下ろす嘉数高地に残る日本軍のバンカー。
馬乗り攻撃を受け、背面は粉砕されてます。


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Posted by はまさん  at 20:35 │Comments(0)戦跡・遺構

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